はじめに:数学の重要度は“大学タイプ”で決まる
大学受験における数学は、理系はもちろん、文系でも国公立志望者にとっては避けられない科目です。しかし、「国立大学」と「私立大学」では、出題形式も、重視される力も、得点戦略も、まったく異なります!
たとえば、記述式で思考力を問われる国立大学と、スピード勝負のマーク式中心の私立大学では、同じ「数学」といっても別物に近いものがあります。しかも、国立大では2次試験でも数学が課されるのに対し、私立文系ではそもそも数学を選ばないという選択も可能です。
このように、志望校の性質によって、数学にかける時間と労力の“意味”そのものが変わるのです。
ここでは現役東大生ライターの「けんけん」が、国立大学と私立大学、それぞれの数学がどのように出題されるのかを紹介してきます!
国立大学の数学:記述式で「考える力」を問われる
共通テスト:基礎~標準の“処理力”を測る試験
国立大学受験者は、まず大学入学共通テストで数学ⅠA、および数学ⅡBを解くことが求められます。共通テストでは、センター試験時代よりも思考プロセスを重視した出題に変化しており、単なる公式暗記では対応しきれない構成になっています!
- 情報量の多い設問
- 誘導付きの記述ステップ(問題文中にヒントがある)
- グラフ・資料・会話文形式の導入
- 複数ステップでの論理構築
つまり、共通テストは“計算テクニック”ではなく、初見問題への対応力や柔軟な発想力が問われる傾向にあるのです。
2次試験:論述・証明・グラフの作図など本格的な数学力を要求
国立大学の本領はここからです。2次試験では、記述式で5題程度出題されることが多く、論理的に筋道を立てて解答を導く力が求められます。
- 関数の性質に関する証明
- 数列やベクトルの本質理解
- 空間図形の論理的把握
- 整数問題における工夫と発想
特に旧帝大・医学部・東工大・一橋などの上位校では、標準問題を一歩踏み越えた“発想力勝負”の問題も出題され、単なる公式の当てはめでは歯が立ちません。
記述式であることの意味は大きく、答えだけ合っていても途中の考察が不十分なら減点されるため、答案構成力・表現力が合否を左右するのです。

私立大学の数学:マーク式中心でスピードと正確さが命
私立文系:数学は“選ばない”という選択肢も
まず大きな違いとして、私立大学文系では数学を受験科目として選ばないことも可能です。英語・国語・地歴で受験できる大学が多く、数学に苦手意識を持っている文系受験生の多くがこのパターンを選びます。
ただし、経済学部や商学部などでは「数学受験が有利になる」ケースもあるため、志望校・学部ごとに受験科目は確認が必要です。
私立理系:基本はマーク式、ただし大学により記述型も
私立理系(理工学部・薬学部・看護学部など)の数学では、マーク式が基本となりますが、一部の難関私大(早稲田・慶應・東京理科大など)では記述式や記述+選択式も導入されています。
- 問題数が多く、時間がタイト
- 出題は標準問題のアレンジが中心
- 「計算量が多い」=スピードと処理能力が問われる
- 解答は答えのみ or 途中式ごくわずか
つまり、私立理系の数学は「手が早く、正確に解ける」ことが最大の武器。
思考力よりも、「公式やパターンの自動化」が攻略の鍵です!
国立大数学:記述で“魅せる力”をつける学習法
国立大学を目指す受験生がまず意識すべきは、「答えを出す力」ではなく「答えを導くプロセスを見せる力」です。特に2次試験では、「なぜその式を立てたのか」「なぜこの不等式が成立するのか」といった論理の飛躍をなくす答案構成が重視されます。
解法の「意味」を理解する
参考書の解答を丸暗記しても、記述試験では通用しません。
重要なのは、「なぜその公式が使えるのか」「この変形にはどんな意図があるのか」といった**“思考の根っこ”を言語化できるようにすること**です。
→ポイント
- 解説を読んだら「言葉で説明できるか」を確認
- ノートに自分の言葉で解法の流れを書く
- 「なぜ?」を追求するクセをつける
答案の“書き方”を練習する
採点者に伝わる答案を書くには、途中式・論理展開・言葉の使い方もトレーニングが必要です。
特に「場合分け」「証明問題」などは、解き方以上に“説明の仕方”で点差がつきます。
→やるべきこと
- 模試や過去問を使って記述練習
- 添削してもらい、改善点をチェック
- 数学の記述解答例を読み込む
私立大数学:頻出パターンを短時間で回す反復練習型
私立大学の数学は、典型問題の反復で勝負が決まると言っても過言ではありません。マーク式であればなおさら、「見た瞬間に解き方が浮かぶ問題をどれだけ増やせるか」がカギです!
解法パターンを“型”で覚える
「この形が出たらコレ」「この条件ならこの公式」というように、問題パターンと処理手順をセットで覚えるのが基本戦略です。
→取り組むべき教材
- 基本問題集(基礎問題精講、Focus Goldなど)
- 共通テストレベルのマーク演習
- 赤本(過去問)や予備校模試問題
時間を意識して解く練習をすることで、“自動的に手が動く”状態を作っていきましょう。
演習量がモノを言う
マーク式の試験では、「1問にどれだけ早く正確に答えられるか」が得点に直結します。計算力・処理スピード・ケアレスミス防止の精度を上げるには、量をこなすしかありません・・・!
→学習法の工夫
- 1周目:時間無制限で理解重視
- 2周目:時間制限付きで反復演習
- 3周目:間違えた問題だけを集中演習



数学が苦手な人へ:戦略で勝つ方法はある!
「数学がどうしても苦手…」という受験生も多いでしょう。
でも安心してください。数学は“才能”ではなく、“考え方と積み上げ”で伸ばせる科目です。
苦手な人こそ、基礎の積み上げと正しい方向性が鍵です。
教科書レベルの理解から始めよう
まずは学校の教科書・基礎問題集をしっかり理解することから。
難問を追いかけるのではなく、土台を確実にすることで応用も伸びていきます。
→おすすめ学習内容
- 図形・関数の基本性質の再確認
- 数ⅠAⅡBの重要公式の「導き方」まで理解
- 基本問題集を3周以上反復
不得意分野は“切る”のではなく“最小限に抑える”
私立理系では範囲が絞られていることもあり、「数Ⅲは捨てる」などと極端な判断をしてしまう人もいます。しかし、捨てた単元が出題されると、即失点につながります!
だからこそ、「完璧は無理でも、得点できる箇所を拾う」意識が大事です。
苦手な単元ほど、出題されやすい“基本パターン”だけでも得点できるようにすることを目指しましょう。
数学って必要?志望学部と受験方式で決まる!
「数学って、自分の志望に必要なの?」――これは多くの受験生が最初に直面する疑問です。結論から言えば、数学が必要かどうかは、志望する学部・学科と受験方式(国立 or 私立)によって大きく異なります!
たとえば国立大学を目指す場合、理系はもちろん文系でも数学が必須になることが多く、共通テスト+2次試験での対策が不可欠です。経済学部・法学部・教育学部など、文系であっても2次試験で数学が出題されるケースは珍しくありません。
一方、私立大学では数学を使わずに受験できる学部も多くあります。特に文系では、英語+国語+地歴で受験できる形式が主流で、「数学が苦手だから避けたい」という人にとってはありがたい選択肢と言えるでしょう。
しかし注意すべきは、経済・経営・商学系の学部では、数学を使う受験方式が有利になるケースがあるという点です。たとえば早慶の経済学部や上智の国際教養学部などは、数学選択の方が合格者平均点が高いという傾向があります。
また、私立理系ではほぼ確実に数学が必要になります。医学部・薬学部・理工系などでは、数Ⅲまでを含めた深い知識と応用力が求められます。大学によっては、共通テストレベルではなく、記述式・難問対応型の出題もあるため、早めの対策が重要です。
つまり、自分が進みたい分野と大学の受験方式をきちんと調べたうえで、「数学が必要かどうか」「どのレベルまで求められるか」を把握することが、最初のステップです。苦手だからといって最初から避けるのではなく、“必要ならどう克服するか”という視点で考えることが合格への近道です!
まとめ:数学で“勝てる受験生”になるために
国立大学では、深い理解と論理的表現力。
私立大学では、速さとパターン対応力。
数学は大学ごとに求められる力が大きく異なるからこそ、志望校に合わせた戦略的な学習が必要です。
苦手でも、得意でも、
「自分に合った方法」を知って、地に足のついた学び方を継続すれば、着実に力はついていきます!
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