スマホは敵?味方?勉強との“関係性”を考えよう
スマホは今や、日常生活に欠かせないツールです。連絡手段としてはもちろん、調べ物、メモ、アラーム、カメラ、さらには勉強アプリや動画授業まで、使い方次第ではとても便利な“味方”になります。
しかし同時に、ゲームやSNS、YouTubeなど、誘惑が多いのも事実。多くの学生が「気づいたら1時間スマホを見ていた」「勉強しようとしたのにLINEを開いて止まらなかった」という経験をしています・・・。
実際に私も受験生時代スマホの誘惑に悩まされていました・・・。高3の夏休み、自分を律しながら追い込まないといけない時期に、寝起きからスマホを見てしまいそのまま2時間ほどベッドから出られなかった、なんていう経験もしてしまいました。
こうした状況を見ると、「スマホ=敵」と見なして完全に取り上げようとする保護者もいます。しかし、それは必ずしもベストな方法とは言えません。スマホの使用を無理に制限すればするほど、ストレスがたまり、反動で使いすぎたり、隠れて使ったりといった「スマホとの悪い関係」を生みがちです。
大切なのは、「スマホを敵にしないこと」。勉強との両立が難しいのは、スマホそのものではなく、スマホとの“付き合い方”に問題があるのです。
では、スマホと上手につきあいながら、勉強に集中するにはどうすればよいのでしょうか?この記事では現役東大生ライターの「けんけん」がスマホと勉強の両立の仕方を皆さんにご紹介します!
スマホ依存の正体は“脳の快感ループ”
「勉強しようと思っていたのに、ついスマホを触ってしまった」「気づいたら1時間以上SNSを見ていた」──そんな経験、誰にでもあるはずです。そして多くの人は、「自分は意志が弱いからダメだ」と自己嫌悪に陥ってしまいがちです。
しかし、この「ついスマホに手が伸びてしまう」現象には、れっきとした脳の仕組みが関わっています。そのカギを握っているのが、「ドーパミン」という神経伝達物質です!
ドーパミンは、快楽や報酬に関係する物質で、人が何か嬉しいことや楽しいことを体験したときに分泌されます。たとえば、SNSの通知が来たとき、動画が面白かったとき、ゲームで勝ったときなど、スマホを使って得られる“刺激”が脳に快感を与え、ドーパミンが分泌されるのです。
このドーパミンは「もっと欲しい」「もう一度あの快感を得たい」という欲求を強くし、無意識のうちにスマホを手に取るという行動を繰り返させます。つまり、スマホ依存の正体は「意志の弱さ」ではなく、脳が報酬を求めているだけなのです。
さらに、スマホはこのドーパミンループを強化するように設計されています。例えば、SNSの“通知音”や“いいね!”は、ドーパミンを刺激する「報酬」です。しかもそれが不定期にやってくるため、「次は何が来るかな?」とワクワクさせられ、ますます手放せなくなってしまいます。
つまり、スマホとは非常に強力な“習慣化装置”でもあるのです。自分の意志で完全に制御するのが難しいのは当然であり、それはあなたの性格や努力不足のせいではありません。だからこそ、スマホとの付き合い方を変えるには、脳の性質に合わせた仕組み=ルール作りが必要なのです!

現実的に続くスマホルールを作るためのステップ
「じゃあ、スマホを一切使わなければいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、今の社会でスマホを完全に断つのは現実的ではありません。スマホは便利な道具であり、使い方次第では勉強にも大いに役立ちます。大切なのは、“使わない”のではなく、“使いこなす”視点です。
ここでは、スマホと勉強を両立させるために現実的かつ継続可能なルールの作り方を紹介します。
ステップ1:使用状況を「見える化」する
最初のステップは、「自分がスマホをどう使っているのか」を知ることです。iPhoneやAndroidには「スクリーンタイム」や「デジタルウェルビーイング」といった機能があり、1日のスマホ使用時間やアプリ別の利用時間をチェックできます。
この記録を見て、「Instagramに2時間も使っていた」「思った以上にYouTubeを見ている」など、自分の実態を客観的に把握することで、初めて“どこに問題があるか”が明確になります。
また、「どんなときにスマホを触りたくなるのか」をメモしてみるのもおすすめです。勉強が難しくなった瞬間、通知が来たとき、集中が切れたときなど、自分の“誘惑ポイント”が分かれば、次の対策が立てやすくなります。
ステップ2:「スマホに手が伸びる瞬間」に対応するルールを考える
スマホを触りたくなるきっかけは人それぞれですが、大きく分けて次のようなパターンが考えられます。
- 通知が来たから気になって開いた
- 勉強に疲れて気分転換がしたかった
- 無意識に癖で触っていた
- 「ちょっとだけ」と思って開いたら止まらなかった
これらに対して、それぞれ具体的な対処ルールを考えましょう。
- 通知が気になる → 勉強中は通知をオフ、または機内モードに
- 気分転換に触る → 「10分だけ使ってOK」など時間を区切る
- 無意識に触る → スマホを別室に置く、手が届かない場所に置く
- ダラダラ使い → タイマーやアプリロックで時間制限を設ける
重要なのは、「スマホを禁止する」のではなく、「〇〇のときはこう使う」と状況に応じたルールを設けること。これなら、ストレスも少なく、継続しやすくなります。
ステップ3:「勉強時間」と「スマホOK時間」にメリハリをつける
スマホの誘惑を完全に断とうとするのではなく、「使っていい時間」と「使わない時間」を明確に分ける方法も効果的です。
例えば:
- 19時〜21時はスマホを別室に置いて集中タイム
- 21時〜21時30分は自由時間としてSNSや動画OK
- 寝る前30分はスマホ断ちでリラックス
こうすることで、「今は勉強に集中すべき時間」「この後スマホを楽しめる」という見通しが立ち、メリハリが生まれます。「ずっと我慢しなきゃいけない」ではなく、「後で楽しめるから、今は頑張る」という意識が育ちます。
このように、スマホとの付き合い方を考えるには、「制限」よりも「理解と仕組み」が重要です。強制的に使えなくするより、自分の行動パターンを知り、それに合ったルールをつくる方が、結果としてずっとスマートで効果的です。
保護者の関わり方も“ルールの質”を左右する
スマホルールを作るとき、保護者が一方的に「こうしなさい」と押しつけると、子どもは反発します。特に中高生は、自分の意思を持ち始める時期。親にコントロールされること自体がストレスになります。
だからこそ、ルールは子ども自身が考え、決めることが大切です。もちろん、親が一緒に考えるのは構いませんが、最終的には「自分で決めたルール」として納得させること。これにより、守ろうとする意識も高まります。
また、スマホ使用について子どもを責めたり監視したりするのではなく、「うまく使っていけるよう応援しているよ」というスタンスで関わることが、信頼関係の維持にもつながります。



スマホ=共存パートナーという意識を
スマホはもはや生活に欠かせないツールであり、これからの社会では「スマホを使いこなせる力」も重要なスキルの一つになっていきます。完全に遮断するのではなく、どう付き合い、どう使いこなすか。その訓練を今のうちにしておくことは、将来にも大きなプラスとなるはずです。
そのためには、「使わないこと=正解」ではなく、「使いこなせるようになること=目標」という視点に切り替えることが大切です。
まとめ:大事なのは“禁止”より“納得”
スマホと勉強は、両立が難しいと感じるかもしれません。しかし、それはスマホが悪いわけでも、意志が弱いわけでもありません。スマホに夢中になってしまう仕組みを理解し、その上で納得感のあるルールを作ることが、最も現実的で効果的な方法です!
自分の生活や性格に合ったルールを作り、無理のない範囲で実行していくことで、「勉強も頑張れるし、スマホも楽しめる」という状態が少しずつ近づいてきます。
スマホと戦うのではなく、味方につける!それが、これからの時代のスマートな勉強術なのかもしれません。