大学入学共通テストの中でも、苦手意識を持つ受験生が多い科目のひとつが「国語」です。
現代文の読みにくさ、古文・漢文の語彙力、時間配分の難しさ…国語には「なんとなく解いて、なんとなく点が取れない」という厄介な特徴があります・・・!
しかし、適切な対策を積み重ねていけば、共通テスト国語でも安定した得点を狙うことは十分可能です。
そこでこの記事では現役東大生ライターの「けんけん」が、共通テスト国語の特徴と対策法、学習のコツについて詳しく解説します!
共通テスト国語の特徴と攻略の視点
膨大な文章量と情報処理力が求められる
共通テスト国語の最大の特徴は、文章量の多さです。
現代文では複数の資料を読み比べたり、要点をつなぎ合わせて答えを導く問題が出題されます。いわば「読解力だけでなく、思考の柔軟性とスピード」が求められる試験です。
時間内にすべての問題を解き切るには、素早く情報を整理し、根拠をもとに判断する力が必須となります。感覚ではなく、論理的に読む練習が欠かせません。
記述問題はないが、正確な読解力は必須
共通テスト国語では、センター試験と同様にすべてマーク式です。
そのため一見「記述がないから簡単そう」と思われがちですが、実際は「どの選択肢が最も適切か」を見極める、極めてシビアな読解力が問われます。
選択肢のどれもが一見正しそうに見える中で、「本文に書いてあるか・いないか」や「話の筋に合っているか」など、細かく比較して解答を導く練習が必要です。
現代文:論理的な読解力がカギ
解き方に「型」を持とう
共通テストの現代文は、評論文と小説が出題されるのが基本です。
どちらの文章にも共通するのは、「筆者の主張や登場人物の心情を正確に読み取ること」です。
これを効率的に行うには、「主張」「対比」「因果関係」など、論理の構造を把握しながら読む力が不可欠です。段落のつながりを意識して読み、接続語や指示語に敏感になることで、文と文の関係性が見えてきます。
選択肢の「消去法」を使いこなす
現代文では、選択肢のどれもがそれっぽく見えるため、明確に「これは違う」と断定できる根拠が必要です。
このとき有効なのが「消去法」です。本文に合っていない記述や、論理的におかしい部分があるものからどんどん削っていくと、正解が見えてきます。
大切なのは、「正しそう」ではなく、「本文と一致しているかどうか」で判断することです!

古文:文法と単語を押さえて読む訓練を
古文単語と文法がわかれば、読めるようになる
古文が読めない理由の多くは、単語の意味がわからない、文法の知識があいまいという基礎的なものです。
まずは、共通テスト頻出の単語300語程度を確実に覚えましょう。語感で何となく読むのではなく、「意味を知って読む」ように意識してください。
また、助動詞・助詞の識別、敬語表現の理解など、文法知識もマストです。文法問題がそのまま出ることは少ないですが、読解の前提として重要です。
解釈は「主語」と「場面」がカギ
古文は、現代文と違って主語が省略されることが多く、登場人物の動きが把握しにくい構造です。
そのため、「これは誰の行動か」「どの場面か」を常に意識して読みましょう。
主語が変わるところには助詞や敬語の変化があります。問題文を読む際は、逐一「これは誰のこと?」と考えながら進める習慣をつけておくと、読解ミスを防ぎやすくなります。
漢文:句法と返り点のルールを覚えれば得点源に!
漢文は“パターン化”で得点しやすい
漢文は範囲が狭く、基本句法・重要語・読み方のルールを覚えれば比較的得点しやすい分野です。
再読文字、否定形、疑問・反語、使役・受け身などの頻出句法は、例文ごと丸暗記するのがオススメです。
また、返り点や書き下し文のルールも必ずマスターしておきましょう。漢文特有の文構造に慣れてくると、本文がスラスラと読めるようになります。
読解では「登場人物の行動」と「教訓」に注目
共通テスト漢文では、登場人物の行動や心情、物語の教訓に関する問いがよく出ます!
本文のストーリー展開をしっかり追いながら、「この登場人物は何をして、筆者はそれをどう評価しているのか」を考えると、選択肢の判断がしやすくなります。
また、漢文も「主語の特定」「場面の切り替え」が読解のポイントです。登場人物が複数いる場合は、誰が何を言っているのかを意識する癖をつけましょう。
時間配分と模試の使い方で仕上げる
時間が足りない!を防ぐ“練習の工夫”
共通テスト国語は、現代文・古文・漢文合わせて80分。
しかし文章量が多いため、「時間が足りなかった…」という受験生は少なくありません。
これを防ぐには、「制限時間を設けて問題演習をする」「音読で読むスピードを上げる」など、時間を意識したトレーニングが必要です。過去問を使った演習では、毎回解く順番と時間配分を決めて本番をシミュレーションするのが効果的です!
模試は復習が本番!“なぜ間違えたか”を追求しよう
模試を受けたら、点数だけを見て満足せず、「どの問題で、なぜ間違えたのか」を徹底的に復習しましょう。
特に国語は、間違いの根拠を曖昧にしたまま次に進むと、同じミスを繰り返します・・・!
選択肢の誤りのパターンを分析したり、本文のどこを読めていなかったのかを確認することで、着実に得点力が伸びていきます。
現代文で差がつく!「設問を先に読む」読み方のテクニック
共通テスト国語では、本文の読解力だけでなく「設問に答えるための情報を拾いながら読む力」が求められます。その力を磨くうえで、効果的なのが「設問先読み」テクニックです。
通常、文章を最初から読み進めて最後に設問に取りかかる人が多いですが、それでは無駄な部分まで読み込みすぎて時間を浪費してしまうことがあります。設問の内容を先に確認しておけば、「どの情報が問われるのか」を意識しながら読むことができ、読むべき部分とそうでない部分を自然に取捨選択できます。
たとえば、「筆者の主張に合致するものを選べ」という設問が出ていた場合、筆者の主張が述べられている段落(多くは最後付近や「つまり」などの言い回しがある部分)を重点的に読むべきであるとわかります。あるいは、「第3段落の内容と合うものはどれか」と指定されていれば、他の段落は軽く読み流し、第3段落に集中することで、無駄な時間を減らすことが可能です。
このように、先に設問を読むことで「目的意識を持って読む」姿勢が身につくのです。設問は、筆者がどこに読者の注意を向けてほしいかを示してくれる“ヒント”でもあります。闇雲に読み始めるよりも、目的に沿った読み方を習慣づけておくことで、設問の正答率も、読み終わるスピードも大きく向上するでしょう。
この読み方は評論文だけでなく、小説文にも有効です。特に共通テストでは、「心情の変化」や「人物同士の関係性」に注目した設問が多いため、最初にその問いを意識して読み始めることで、心情の転機となる描写や台詞に自然と目が向くようになります。
最初はぎこちなく感じるかもしれませんが、数回の演習で慣れてくると、「読むこと」と「解くこと」が同時進行できる感覚をつかめるようになります。模試や過去問を使って、意識的に設問先読みの練習を繰り返していきましょう。



古文・漢文の「本文に線を引く」技術で読みを深める
共通テストの国語においては、文章の読み落としを防ぐことが得点安定のカギになります。特に古文・漢文では、知らない語句や見慣れない表現が多いため、流し読みしてしまうと設問で根拠が探せず失点してしまうことがあります。
この対策として有効なのが、「本文に自分なりのマーキングをする」ことです。
特におすすめなのは以下のような線の引き方:
- 主語に二重線
- 時間・場面の転換に波線
- 会話・心情に関する箇所に丸印
- 接続語に印をつける
たとえば古文の場合、主語の特定が文章理解のカギになります。「女は~」「男は~」といった主語が変化する場面では、きちんと線を引いておくことで、人物の動きを把握しやすくなります。また、場面転換のサイン(「~してけり」「~にて」など)には波線を入れておくと、時間や場所の変化に気づきやすくなります。
漢文でも同様に、返読順の矢印を書き込んだり、句法(使役・受身・否定)にマークを入れておくことで、書き下しがスムーズに進み、設問の根拠も見つけやすくなります。
このようなマーキングは「読み飛ばし」「誤読」「主語の混乱」といったミスを減らしてくれるだけでなく、記憶の定着にも効果があります。自分の手で印をつけることで、読む行為そのものに“能動性”が生まれ、理解が深まります。
また、過去問や模試の復習の際にも、「この時点でこのマークをつけていれば、設問に答えやすかったな」と気づくことで、自分の読み方を客観的に振り返ることができるようになります!
学校や予備校ではなかなか教えてくれない「読みながら考えるための印のつけ方」は、本番で実力を出し切るための土台です。普段の演習から意識的に取り入れていくことで、国語全体の読解力を底上げできるでしょう。
おわりに:地道な積み重ねが「安定した得点」につながる
共通テスト国語は、努力がすぐに点数に反映されにくい科目だと感じるかもしれません。しかし、基礎を固め、本文の読み方・選択肢の判断力を意識的に訓練していけば、必ず得点は安定してきます。
焦らず、一歩ずつ着実にステップアップしていきましょう!